TVで目に入ってきたショッキングな映像
先日、たまたま見たドキュメンタリー。
孤独死・孤立死にかかわるもので、とても厳しい現実でした。
最近、アパートなどを借りている高齢者で、大家の都合でアパートを追い出される人が増えている、というのです。
途中から見たので詳しくはわかりませんが、80代の男性と女性それぞれに取材をしていました。
困り果て、疲れはてた老人の姿
二人に共通しているのは、身寄りがなく、独居老人であること。
アパートを出ていかなければならない理由はよくわかりませんでしたが、大家の都合で、アパートを期日までに明け渡せというものでした。
困り果て、そして疲れ果てた彼らの姿が印象に強く残りました。
大家側に事情はあれ、なんて残酷な仕打ちなのでしょう…。
アパートを探し始めた彼らに立ちはだかる問題
80代の老人たちは、仕方なく新居を探し求めます。
しかし、賃貸住宅の業者は、彼らの年齢でまずシャットアウトなのでした。
身寄りのない高齢ということで、孤立死(または孤独死)を恐れるからです。
彼らがいくら業者を訪ねて歩いても、軒並み断られていました。空いてる部屋がないのではなく、実際は高齢の彼らに貸す部屋がないのでしょう。
「こんなに長生きしなければよかった」
彼らは、初めから独居だったわけではなく、若い頃には家族と暮らし、自分の家もありました。
なのに、事業に失敗したり、離婚したり、死別したりして年をとり、独居老人となってしまったのです。
断られる度、彼らが呟く言葉が私は忘れられません。
男性の方は、「首でもくくればよかったのかな」と言い、女性の方も「こんなに長生きしなければよかった……」と肩を落とすのです。
彼らだって、こんなことになるとは思ってもみなかったことでしょう。
自分の死に場所さえ手に入れられない悲しさ、残酷さ!
高齢で身寄りがないということは、たとえ賃貸住宅が見つかっても、身元保証人もいません。
確かに、貸す側としては、大きなリスクを負いたくはないでしょう。
家賃が支払われなくなるリスク、孤立死の後に部屋をまた使えるよう原状回復処理をするための費用の問題、次の入居者には家賃の減額……
さまざまな問題がついてまわり、非常に困難なのでした。
彼らとしては、とにかく、余生を過ごせる心安らぐ場所を手に入れたいだけなのに、それさえ簡単ではないのです。
自分の死に場所さえ手に入らないとは、なんと残酷なことか。
今まで見て見ないふりをしていた私達
ドキュメンタリーでは、高齢者がアパートを一人でも借りられるように、NPOの団体が高齢者と賃貸業者との間に入り、身元保証人の代わりをし、さらに孤立死を防ぐために見廻りをしていると報じていました。
顔見知りのスタッフが何日かおきに高齢者を訪問し、ちゃんと食事をしているか、身体に不調なところはないか、何気ない会話の中でチェックをするのです。
経済の高度成長時代にはきっと華やかな生活をしていたであろう、その人生の大先輩達の現状を見ることは、私にとって、とても心の痛むことでした。
日本人は皆同様に中流意識を持っていたものですが、このわずかの間にこの国はいったいどうしてしまったのでしょう。
持ち家なので現在路頭に迷う心配だけはないものの、私自身だって、今後どうなるかはわかりません。
早く行政の力で何とかしてほしいと強く願わざるを得ません。

近いテーマでドキュメンタリー番組をやっていました。
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